夢のなれの果て - くそみそシミュレーティング

akogina2007-04-08

「いよいよ完成しましたね」
「あ、これは、博士・・・はい、一応プロトタイプですが仮想人格モジュールのインプリメントテストは既にクリアしています」
「ではあとは被験者の搭乗テストのみですね」
「はい・・・しかしまだ『適性者』の選別が終了していませんので」
「それではわたしが乗ってみましょう」
「いや、ですが・・・!博士はプロジェクトの中核を担う方ですし、そのような危険を冒すわけには・・・」
「しかし、提唱者の私が『適性者』であることは誰の目にも明らかでしょう」
「それでも・・・」
「ウ=グイッシュ君、あなたはオレ理研の初期オリジナル・メンバーです。自分の開発したものにもっと自信を持ってください。・・・では搭乗の準備を」
「・・・はい、わかりました。フーミ所員、プラグ挿入の準備をお願いしまつ」
「(ザザ・・・ザ)はい、え?プラグ挿入の準備ですか?でもまだ被験者選抜のスケジュールが」
「いや、それについては博士の許可が下りている・・・実は博士が搭乗されるのだ」
「え・博士がですか?・・(ザザザ・・・)では」
「博士自身が決断されたことだ」
「・・・了解。ではエントリープラグを第一アンチ・コミュニケーション・ルームに射出しまつ」
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「博士、聞こえますか?今のところ状態は安定しています。シミュレート開始準備も最終段階に到達しています」
「では、始めてください」
「了解しました。それでは今からS型ソーシャルアイソレーションマシンによる「真の」非コミュ心理シミュレート実験を開始します。博士、準備はよろしいですか?」
「"彼ら"を納得させるために必要な唯一の方法です。この機会に賭けるしかないでしょう」
「しかし・・・「真の」非コミュの存在はまだ理論段階であり、その心理機構を安全にシミュレートするのにはまだクリアされてない問題が・・・」
「提唱者は私です。その私が実際に体験しなくてどうするんです?非コミュという『適性者』である私がね」
「・・・そうまでおっしゃるのなら仕方ありませんね。・・・ではフーミ所員、第一フェーズであるkiya式非モテ回路による心理機構導入のコントロールをお願いしまつ」
「了解。ミソジニーフィルタリングによる情動誘導に移ります」
「うがぁ・・・!」
「・・・!?大丈夫ですか、博士!」
「はは、・・・心配させてすいません。なぁにちょっと予想してたものより刺激が強かっただけです。続けてください、ウ=グイッシュ所員」
「ですが、博士の非コミュ心理曲線をモニタリングしますと、既に・・・」
「構いません。わたしが決めたことです。これで殉ずるようなことがあればそれで本望です」
「・・・しかし!」
「続けてください」
「・・・わかりました。では第二フェーズ、クネリング・モジュールのリジェクトを行います。カウントダウン」
「(ムタイ・システムの音声インターフェース)ハジメマス 10・9・8・2・8・4・6・3・1・スタート!」
「(あいかわらずメチャクチャだ)リジェクトオフ!」
「ぐっ・・・!」
「博士!」
「そのまま、お願いします・・・うぅ」
「・・はい、では最終レベルの第3フェーズ、ソーシャル・アイソレーションの完全実行・・・オン!」
「(ムタイ・システム)ビィビィビィビィ---(音声インターフェース)緊急事態ハッセイ、緊急事態ハッセイ、搭乗者ノメンタルステートガ危険水域3ニ突入・・・緊急事態ハッセイ、布施明ノ元嫁ハオリビアハッセイ」
「な、何が・・・博士!博士!!」
「(ザザ)こちらkiya式非モテ心理回路コントロールルームのフーミ、駄目です!プラグ内から応答がありません!」
「なんてことだ・・・仕方ない、ムタイ、過剰リテ能力による非コミュ心理曲線を再構築してくれ」
「カシコ・マシタ・・・マシタコノミ・・・ビィー・・・キャンセル・構築不可能デス・・・「真の」非コミュ心理機構ガ搭乗者ヲ拒絶・・・非コミュスパイラルガ完全ループ化・・」
「何・・・何故だ・・・何故拒絶する・・・」
「こちらフーミ、危険水域4に突入、このままでは博士の命に関わります・・・あ、プラグ内の同調圧力が急上昇!」
「で、ではプラグ排出準備に・・・」
「ダメです!排出するにはクリリン指数が高すぎます!」
「クソッ・・・どうすれば・・・?!はっ、そうかプラグ内に非コミュフィッシング用仮想エロファイルで探針すればいいのか・・・よし、ムタイ、20sec以内に仮想エロファイルを構築、プラグ内のサブのコミュ媒体から接続し投入してくれ」
「了解シマシタ。エロファイルノシミュレートレベルハドウシマスカ?」
「・・・そうだな、レベル『少女秘宝館』だ・・・!」
「カシコマシタ・・・マシタアケミ・・・ア、マシタジャネェヤ、マスダダ・・・Eファイル構築終了・・・投入シマス」
     :
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ザッ゙パーーーーーーーーッ!!!
「博士・・・!博士!!、よ、よくご無事で・・・くっ」
「・・・ウ=グイッシュ君・・・わ、わたしは一体・・・」
「覚えてらっしゃらないのですか、あの後・・・最終フェーズ後、博士の非コミュ心理曲線が完全にオーバークラッシュ・・うわっ臭っめっちゃ臭っ!!」
「はは、どうやら漏らしてしまったようです・・・」
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その後、この「真の」非コミュ心理シミュレート実験プロジェクトはトモムン機関の決定により完全に凍結された・・・