シモノ怪 - 「死ね神」

シーン1-4

男「いえ、なに・・・その・・・シモの匂いが致しまして、ね」
侍A「ここはお前のようなアヤシイ者の来るような所ではない。早々に立ち去れい!」
男「しかし、その、そこが藩主の・・谷 嘉平様は夜毎『死ね神』に祟られていると・・・聞きまして・・ね?」
侍A「どこでそのような事を・・・!」
侍B「いや、待て。おぬし、聞けばSOHOを営んでいるとな?」
男「はい・・・主にソーシャルブクマを・・切り売りする商いをさせて頂く・・・流れのブクマ売りでごさいます・・・ですよ」

シーン2-1

修験者「既に身共が谷様のお守り役を仰せつかって居りますゆえ、このような怪しきブクマ売りなぞ・・・」
侍C「まぁ良い。正体わからぬ相手ゆえ、お守役が多くて困ることはござらん」
修験者「しかし・・・」
男「なぁに・・・わたくしめは・・・笑 舞人さまの呪法をお手伝いするだけのこと・・・」
そこへ谷嘉平登場
侍一同「これはこれは谷様、ご機嫌うるわs」
谷「何がご機嫌じゃ、ここ数日眠っておらぬわ!・・・ん?なんじゃ、こやつ等は?」
侍B「まことに勝手ながら、ここに集めましたるは谷様を例の・・・ウホン・・・からお守りする者どもで御座います」
修験者「これはお初にお目に仕りまする、恐れながら比叡はてな本山にて世のあまねくネガコメ、イナゴのアヤカシから世俗を守るべく、ライフ八苦たるブクマタグ呪法を極めし身共は笑 舞人と申しまする。身共は天地人、この世は全てたった幾らかのタグの組み合わせにてあらわすことg」<スパン>(襖の音)
シーン切り替えカット

シーン4-4

谷「この音じゃぁ、この音がワシを苦しめるのじゃぁ!!」
修験者「恐れながら谷様、これは虚空タグというもの。姿見えなきプラベモードの亡者どもの勝手付けたるタグにておそるるに足らぬもので」
谷「害があるかどーかではない!この音こそがワシを・・あああああ!!」
どこからともなく、大勢の者たちの音声(おんじょう)<肉屋の包丁>・・・<留保なき生の肯定を>・・<これはひどい>・・<これはひどい>
侍A「お、おまえら、口上はよい!早ようこのアヤカシどもを」
男「・・・これは・・・アヤカシでは・・・ござらぬ・・・」
侍C「何?おぬし、今なんと?」
男「アヤカシとはネットの海たるこの世界にて、それこそ八百万の神々のごとく溢れたる、塵芥のごときネットサービスのひとつに過ぎませぬ。しかし・・・シモノ怪は・・・違う・・・!」
谷「何?シモノ怪とな?」

シーン5-3

破天武の剣の柄頭の歯がカチカチと鳴り響く
谷「こ、このぉおおお!無断リンクの化け物どもめぇえええ!!おぬし!!何をしておる?ん、なんじゃそれは?」
屋敷の中にて荒れ狂うネガコメやイナゴたち
耳を劈くような大音声にて繰り返される、或る言葉<死ねばいいのに>・・・<死ねばいいのに>・・・<死ねばいいのに>・・・
次々と刀を抜くも斃れてゆくお側つきの侍たち、とうに白目を剥いている修験者の笑 舞人
男「お聞かせ願おう、これだけの炎上をもたらした、そもそもの真と理を!」
谷「何をゆーておる、貴様は!?・・・わ、わしは、ここでしがない己が生活をブログにて書き記しておるだけ。このような咎を受ける覚えなどないわ!!」
男「シモノ怪とは・・・本来、人の為たるネットサービスと人の怨念が結びつきモノ・・・ゆえに・・必ずや形あるところに真と理があるハズ・・・!!」
谷、苦悶の表情
谷「・・・ぐッ」

6-1

突如、禍々しく輝いていたブログパーツが粉々に砕け散る
昏倒していた侍Cが目覚め、その有様に気づく
侍C「こ、これは・・・谷様のご同輩から謙譲されたブログパーツとあふぃりえいと・・・ま、まさか!?」
男「ここに真を得たり・・・!すべては人々の心の闇を引き出すように配置されたサイドバーがそもそもの根源。しかし、そのサイドバーをデザインした彼の人はいずこに?」
侍C「そ、それは・・・」
砕け散っていたブログパーツが徐々に再生し始める
谷「ぉおお、退治したのではなかったのか!?」
しかし、その問いかけに男は答えない
男「・・・して、この厄災を呼び寄せた、その理を知る人は・・・どこへ?」
侍C「そ、それは・・・谷様・・・?」
恐る恐る、伺うように谷を見遣る侍C
谷、がっくりと肩を落とし、諦観の表情
谷「もうよい、話してもよいじゃろう・・・そう、このサイドバーをデザインしてくれたアヤツとワシはかつて同じ部署で働いていたSEであった」
→シーン6-2にて回想シーン

6-3

修験者「では、言わば・・・谷様が・・・その件の者を陥れたと・・・?」
谷「そう、アヤツからはそう見えただろうな」
再び回想シーン
事務机の数センチ上に靴下を履いた足が浮いている
侍C「そ、そのような、既に死んだ者からメールなぞ・・・」<バシン!>大鎌が戸を打ち破る音。
修験者「何!俺の.htaccessが効かないだと!?」
打ち破られた戸の隙間の暗闇から赤い無数の輝き
修験者「もはや、これまでか・・・」
男「最後に聞こう。妄念に駆られし同輩の、その駆使たるその言語とは・・・?」
谷「・・・Perlじゃ・・・」
柄頭が歯を剥く。
男「しかとその理、承った!!」<カチン!>
柄頭「ブ・ク・マ・ナ・ァーーーー・ツッ!!」

エピローグ

侍C「お主には世話になったが、今の我々にはこれしか礼のしようがないのじゃ」
男「なぁに、また・・・しがないブクマ商いにて日銭を稼ぎますよ」
侍C「す、すまない・・・」
修験者「ところでおぬし、ブクマ売りなどと申して居るが、その実、スパマーなのだろう?」
男「フッ・・・何を仰るやら・・わたくしめの仕事は・・・ただのSOHO・・・ですよ♪」