シモノ怪 - 「出禁」

男「あんた、いったいどんな技が得意なんだい?」
女「・・・どなたですか?」
男「いや、なに、ただのお客ですよ」
女「おかしいじゃないですか?店長呼びます」
男「・・・」
女「だって、ゆうゆうと世間話する客なんて・・・」
男「まぁまぁ、どうせ、あなた・・・仕事なんでしょ?」
女「ご存知でしたか・・・」
男「え?・・・いや、まぁね、夕刊フジあたりでは有名ですからね」
女「そうですか、夕刊フジでそのような扱いですか・・・」
男「・・・それにしても、派手にやったもんですね、東京ドームで1000人相手に」
女「違いますけど」
男「あれ、おかしいな?じゃぁ、チアガール姿でブリッジしながら」
女「違いますけど」
男「違いますか、じゃぁアレだ、テーブルマナーを指導されつつ、前から後ろから」
女「違いますけど・・・!」
男「これも違いますか、あぁ、思い出した、全裸でバレーボールを」
女「だから違います!」
男「これも違いますか・・・じゃぁ黒人とラブラドールレトリバーとで」
女「いい加減にしてください!」
男「じゃぁ、どんなんでしたっけ?」
女「・・・忘れました」
男「ほう、そうですか、忘れましたか、まぁ情報誌なんてものは尾ひれ背びれドルフィンキックで鈴木大地ですからね」
女「ワケがわかりません」
男「まぁまぁ、どうゆープレイかは問題じゃない。左じゅんやに右しなもん、真ん中モッコリ木曜日・・ってね」
女「ワケがわかりません」
男「いや、まぁ、昼間のパパはちょっと違う、夜のパパはもっと違う、体の一部がね・・ってことです」
女「・・・」<ヴィーン・・ヴィーン・・ヴィーン・・>
女「なんです?それ」
男「マッサージ器です」
女「マッサージ器・・・」
男「かなり強めのね・・・まぁ、お気になさらずに・・・ただの仕事道具ですから。
・・・ところで、もっともらしい体験談も、顔写真もなく、あるのはメイキという噂だけ。肝心のところは曖昧だ。実はね、お蝶さん、あたしはね、お蝶さんはひとりだけじゃないと思っているん・・・ですよ」
女「何を言っているんです?この店でお蝶は私ひとりですけど?」
男「ほう?・・・しかし、あなた・ほら、あるでしょ?その、人には職業ごとに纏わねばならない空気とか顔というものが。日毎違うお客を相手する者が纏っている後ろめたさが感じられない・・・ということですよ。」
女「着物はすっかりシースルーですけど?」
男「ま、それはここのお仕着せですから。なりはともかく、顔ですよ、私が言いたいのはまるで別人だ、店の入り口の写真と実物が」
女「何を仰るんです?普段の私の顔も知らないで・・・あなた、何者です?」
店長「ふーーーーーーっ、お前、何者だ」
女「店長、この人、変なんです」
男「ん?」
店長「お前、何者だ、答えよ、どこで紹介された・・・?」
男「なに、ただのお客ですよ、おっとここではただの変態か・・・」
店長「なぜここにいる?どこの紹介所で聞いた?どこでここを知った?答えよ」
男「よくしゃべる。初めてですよ、ここまで客にタメ口をきくオーナーと出会ったのは」
女「バカなことを言わないで下さい。普段の店長は紳士なんです。店長休憩入りま〜す、ちょ、何を、何をなさいます、ちょ、ま、放してください、ちょ、やめ、いきなり・・・!、・・・な、生・・・!?」
男「中で出したいと思えば『生』となり、出されたくないと思えば『ゴム』となる!」
店長「お客さん、ウチは生尺も本番もやってないんです・・・」
男「ではお聞かせ願おう!そなたの真と理の店の名前を・・・!!」
店長「・・・イメージ倶楽部「座敷牢」・・・ですが?」
男「あ、店 間違えた・・・」