時たま、セカイはズコックで

不覚にも泣いてしまった自分への復讐という名の相対化*1

「俺は昔、書店でたまたま立ち読みしてたら、エロ漫画コーナーで『Angel倶楽部』を見つけたんだ」
「当然、『Angel倶楽部』なんてハードなエロ漫画雑誌はテープで封がされてるハズなんだ」
「ところが、それは封なんてされていなかったんだ」
「俺はすかさずソレを手に取り、まさに”勃ち読み”しはじめた」
「だって、普段テープで封をされて読めない『Angel倶楽部』だぞ?」
「俺は所構わず読みふけった」
「だが、急に俺は肩を叩かれ我に返った」
「肩を叩いた書店の店員は俺にこう言ったんだ『封印されてる雑誌の立ち読みはご遠慮ください』って」
「見たら、封をされていなかったんじゃなくて、表紙のテープを誰かかが剥がしていたんだ」
「なんなんだ、これは。どうしてこんなことが起こるんだ? この世界は、時々ほんとうに酷すぎる。そう思ってしまうよ」
「封を剥がしたのは俺じゃないのに。それを知らずに読んでただけなのに。そんな理由で」
「ああ、うまく言えない。まとまらない。とにかくお前は、そういうことも起こるんだってことを覚えておけ」
父ギナヒコに言われるまでもなく、私はこの話を決して忘れないだろうと思いながら、父の言葉に耳を傾けていました。
私はその日、風呂の中でひとり、膝を抱えてぶくぶくと湯舟の中に沈み、ほんの少しだけ、泣きました。ナニのカが悲しくて。ナニのカが苦しくて。
ただそれだけの、思い出話。

*1:パロディとも言う