わけいっても新百合ヶ丘

よく電車なんかに乗ってると、座席でうつらうつらしてる人がいたりして、その人が急にガバっと起きて、周り見回して、降りるべきか降りないべきか迷ってる場面をよく見かけるんですけど、そーゆー人が立ってる自分のまん前に座ってた場合、
「こは〇〇駅ですよ」
とかおせっかいとわかりながらもつい声かけたくなってしまうことがある。
まぁ親切っちゅうより、その人がその駅で降りてくれたほうが自分が座れるからね。
この前も新百合ヶ丘でオレの目の前の座席で眠ってた人が同じように目覚めた途端、キョロキョロしていたので
「あのぉ、ここ新百合ヶ丘ですよ」
と教えてあげたら、
「え、あ、新百合?」
「だから、ここ新百合ですよ」
「ああぁ新百合かぁ、じゃぁまだ・・」
「はは、残念、今新百合ヶ丘だと思ったでしょ、ところがどっこい実は新百合ヶ丘なんですよ」
「へっ?」
「なぁんてね、ホントは新百合ヶ丘なんですけどね」
「え、でもてっきり新百合ヶ丘だとばかりに・・・」
「いやぁなに、ホントのホントはここ、実は新百合ヶ丘なんですよ」
「いや、でもさっき新百合ヶ丘だって」
「だからあなたが新百合ヶ丘だと思ってた場所は実は新百合ヶ丘だったんですよ」
「ええぇまさかぁ、そんな新百合ヶ丘だなんて!」
「そう思うのも仕方ないですが、新百合ヶ丘新百合ヶ丘なんです」
「としたら、さっきまで僕が新百合ヶ丘だと思ってたところは・・・」
「そう!まさにそこが新百合ヶ丘なんですよ」
「え、でもそーしたら今いるところは」
「もちろん新百合ヶ丘。」
「てことはこの次も・・・」
「やっぱり新百合ヶ丘
「じゃぁ・・・」
「そう、そのとおり!新百合ヶ丘
「でも、おかしいじゃない。そんなに新百合ヶ丘なわけ・・・」
「そこがわかりにくところでね、みんながみんな新百合ヶ丘だと思ってるけどね、その実、実際は新百合ヶ丘なんだよ」
「えー、だとしたら新百合ヶ丘は」
「そう!人の数だけ新百合ヶ丘
新百合ヶ丘は僕だけのものじゃなかったんだ!」
「そうなんだよ、人それぞれが新百合ヶ丘だと思う場所が新百合ヶ丘なんだよ」
「ということは宇宙はどこまでも・・・」
「いや、宇宙そのものが新百合ヶ丘なんだ」
「じゃ今まで新百合ヶ丘の中に居たと思ってたところは」
「そうまさに新百合ヶ丘だったんだ!」
「え、じゃぁここも、あそこも?」
「もちろん新百合ヶ丘。それに実はあなたも僕も新百合ヶ丘なんだ」
「え、僕が?新百合ヶ丘??」
「あらゆる新百合ヶ丘新百合ヶ丘なんだよ、その証拠に」
(18+)
「その証拠に、このいきり立つ僕の新百合ヶ丘を見てごらん」
「うわぁ、見るからに新百合ヶ丘だぁ」
「だろぉ?それだけじゃないんだ。ほらここも新百合ヶ丘なカンジだろ?」
「うわぁ、裏のほうまで新百合ヶ丘だぁ、新百合ヶ丘がいっぱい浮き出てる・・・!」
「じゃぁ試しに・・・」
「試しに?」
新百合ヶ丘してみなよ」
「え、新百合ヶ丘しても・・・?」
「僕の新百合ヶ丘を君なりの新百合ヶ丘新百合ヶ丘してごらん」
「じゃ、じゃぁ、あなたの新百合ヶ丘を・・(ゴクリ)」
「そう・・・あぁそうだ、新百合ヶ丘だ・・・」
「あふ、ふごい、ふごふ、しんふふぃがほほら」
「あぁ、いいぞ、もっと新百合ヶ丘してごらん?」
「こほでふが?」
「そう、もっと奥のほうで新百合ヶ丘だ、ぅお、いいぞ、いい新百合ヶ丘だ・・」
「どんどん、ふごふしんふふぃがほはが・・・!」
「そう、もっと強く新百合ヶ丘だ、ああ、新百合ヶ丘が迸りそうだ・・あああああ」
「ふも!ふもも・・しんふふぃ〜〜!!ぷはぁ!」
「・・・ふぅ〜・・・どうだい?僕の新百合ヶ丘は・・・?」
「(ゴクリ)・・・とてつもなく新百合ヶ丘でした」
「これで僕たちはひとつの新百合ヶ丘になったんだよ・・・」
「ああ、これがホントの」
(二人で)「新百合ヶ丘だったんだ・・・」